【第2回】AIはブラウザも操作する?Claude in Chromeの実力と注意点

総務や経理の仕事をしていると、毎日同じようなブラウザ画面を開いて、同じような作業を繰り返すことに疲れを感じませんか?

ある日の昼休み、総務担当の田中さんはパソコンを見ながら

「……またログインからか」と、思わずため息をもらしました

その声を聞いて、経理のベテラン社員である花袋さんが

「どうしたの?」と振り向きます。「いや、経費精算です。ログインして、領収書見て、入力して、保存して……」

田中さんの言葉に、花袋さんは「それ、毎日やってると”修行”みたいになるのよね。私も勤怠の入力とか、本当にしんどいわ」と共感しつつも、疲れ切った様子で答えました。

そこで田中さんは目を輝かせながら言います。「実はCoworkを調べててわかったんですが、AIが手伝ってくれるのはファイル整理だけじゃなかったんです!私たちの仕事の大半を占めるブラウザ操作も、AIにお願いできる時代になり始めてるんですよ!」

「ええ……また難しそうな設定が要るんじゃないの?私は今のやり方でなんとか回すからいいわよ」と、花袋さんは相変わらず新しいシステムには消極的です。

しかし、実際にブラウザ操作を支援する最新AIの実力を知れば、花袋さんのようなベテラン社員も必ず驚くはずです。この章では、その実力と、知っておくべき注意点について解説します。

それぞれ順番に解説していきます。

総務・経理の仕事は「ブラウザ作業」だらけ

企業のバックオフィス(総務・経理・人事など)の業務内容を分解してみると、実はそのほとんどがインターネットブラウザ(Google ChromeやMicrosoft Edgeなど)を通じた作業に依存していることに気づきます。

例えば、経理部門の代表的な仕事である「経費精算」を考えてみましょう。

まず経費システムのWebサイトにアクセスし、IDとパスワードを入れてログインします。提出された領収書の画像やPDFを一つ一つ確認し、日付、金額、取引先名、勘定科目などのデータをシステムに手入力していきます。そして間違いがないか確認した後、上司への承認申請ボタンを押す。この一連の流れはすべてブラウザ上で行われます。

また、「勤怠管理」も同様です。社員の打刻漏れがないか勤務時間を確認し、必要があれば修正を加え、最終的な承認をシステム上で行います。営業部門を支える「CRM(顧客管理システム)」への入力作業も、日々の商談メモを残したり、連絡先などの属性情報を更新したりと、ブラウザを開いて文字を打ち込む作業の連続です。ECサイトや自社サイトの「管理画面作業」に至っては、新商品の登録から在庫データの確認、数百件の受注データが詰まったCSVファイルのアップロードまで、これらもすべてブラウザを通じて行われる重要な業務です。

これらの作業は、一つ一つを取り出せば決して難しいものではありません。しかし、最大の問題は「とにかく回数が多い」という点にあります。経理の花袋さんが「1回5分でも、1日10回やったら50分なのよ。本当に修行だわ」とこぼすように、細切れの時間が奪われていきます。田中さんが「それが毎日続くと、月に何十時間にもなりますよね」と同意した通り、年間を通せば莫大な労力が「単純なブラウザ操作」に消えているのが実態なのです。

Claude in Chromeとは何か?その真の実力

そんなブラウザ操作の負担を「設定なし」で劇的に減らしてくれる可能性を秘めているのが、「Claude in Chrome(クロード・イン・クローム)」です。

田中さんが画面を見せながら

「これです」と紹介したとき、

花袋さんは「クロームのアプリ?また何かインストールしなきゃいけないの?」と

面倒くさそうに覗き込みました。

「正確にはChromeの拡張機能というもので、すぐに追加できるんですよ!」と田中さんは嬉しそうに答えます。

Claude in Chromeは、Anthropic(アンソロピック)社が公式に提供している、AI「Claude」専用のブラウザ拡張機能です。

この機能のすごいところは、単に文章を作り出すだけでなく、「今開いているブラウザ画面の内容を理解し、ページの構造を把握し、操作を支援する」という能力を持っていることです。

つまり、「あなたの横に座って、画面を見ながら操作を手伝ってくれるパートナー」のような存在になります。

翌日の経費精算の時間、花袋さんはいつも通り「はい、パスワードをいれてログイン……あれ、違う」と悪戦苦闘。

「花袋さん、だからこそこれの出番ですよ!」と田中さんは、Claudeを使った新しい想定を提案しました。「昨日の交通費3件を経費精算に入力して。内容はこのメールにある通り」

——たったこれだけの指示で、Claudeは画面の入力項目を把握し、必要な情報をメールから拾い上げて整理し、入力を進めていくことができるのです。「えっ、設定とか何もしてないのに……?それ、営業マンが毎日必死にやってるやつじゃない!」と、ようやく花袋さんも身を乗り出して驚きました。

要注意!無料版では使えない?料金と条件

ここで、これからClaudeの導入を検討されている中小企業の皆様に、非常に重要なポイントをお伝えしなければなりません。それは、この便利なブラウザ操作機能である「Claude in Chrome」は、誰でも無料で使えるわけではないという事実です。

巷のSNSや一部のブログ記事では「メールアドレスさえあれば無料でAIが使える!」と簡単に紹介されていることがあります。

花袋さんも「これ、”メールアドレスがあれば無料”って言ってる人いるわよね?タダなら使ってみてもいいけど……」とつぶやきました。しかし、田中さんは首を振って「アカウントを作る事自体は無料だし、普通の相談ならタダでできます。でも、この”画面を操作する機能”は有料なんです」と説明します。

具体的には、Claude in Chromeが利用できるのは「Proプラン」「Maxプラン」「Teamプラン」「Enterpriseプラン」といった有料プランのユーザーに限定されています。なぜでしょうか?ブラウザの画面をリアルタイムで理解し、適切に操作を実行するという処理は、非常に高度だからです。本当に面倒な日々の業務を自動化して、花袋さんのようなベテラン社員の負担を減らしたいのであれば、月額数千円〜の有料プランへの投資は、必要不可欠なステップとなります。

RPA vs AI自動化!得意なこと・苦手なこと

「でもねえ田中くん。昔うちの会社でもRPAってやつを導入しようとして、設定が難しすぎて結局誰も使わずに終わったのよ。これも同じじゃないの?」。

花袋さんのこの言葉には、多くの中小企業が共感するのではないでしょうか。

AIによる自動化を考える際、必ず比較されるのが「RPA(Robotic Process Automation)」と呼ばれるパソコン操作の自動化ツールです。

RPAの最大の強みは、「手順が完全に固定化されている作業」や「画面が変わらない・入力ルールが同じ作業」を正確にこなすことです。

しかし裏を返せば、「例外が多い作業」「文章を理解する必要がある作業」「画面のボタン位置が変わるような変更が多い作業」には非常に弱いという弱点があります。

少しでも想定外のことが起きると止まってしまうため、導入にこりごりしている人も多いのです。

一方で、Claude in Chromeに代表される「AIによる自動化」はアプローチが根本的に異なります。

「AIは今、事前に決められた手順をなぞるのではなく、人間のように”画面を見て、その場の状況を理解して動く”方向で進化しているんです!」と田中さんは熱っぽく語ります。

事前の細かい設定(プログラミング)に頼らず、その場その場で画面の状況をAIが解釈して操作できる点が、RPAとの決定的な違いです。

ChatGPTはもう古い?Operatorという新展開

田中さんと花袋さんの会話も終盤に差し掛かった頃、少し興味を持ち始めた花袋さんが質問しました。

「でも、世間ではChatGPTってのが一番有名じゃない?ChatGPTはそういうブラウザ操作はできないの?」。

この問いに対して、田中さんは少し得意げに首を振ってこう答えました。

「花袋さん、実はその認識はもう古い情報になりつつあるんですよ」

AI業界の進化のスピードは凄まじく、ChatGPTを開発しているOpenAI社も強力な一手を用意していました。

それが「Operator(オペレーター)」と呼ばれる新しいブラウザ操作エージェントです。Operatorは、Claude in Chromeと同じように、ユーザーに代わって「Webページを見る」「ボタンをクリックする」「フォームに入力する」といったブラウザ操作ができる仕組みです。

つまり、田中さんが「操作型AIはClaudeだけではないということです」と結論付けた通り、今AI業界全体が「チャットによる対話型」から「実際の作業を代行する操作型」へと、着実に進化を遂げているのです。

まとめ|チャットから操作へ進化するAI

  • Claude in ChromeはClaudeの公式Chrome拡張機能
  • 利用にはPro/Max/Teamなどの有料プランが必要
  • RPAとは違い、AIは「画面の内容をその場で理解して」操作を支援する
  • ChatGPT側も「Operator」を公開しており、AIはチャットから操作へ進化中

「なるほどねえ……。面倒な設定なしで、画面を見て動いてくれるなら、私でも使えるかもしれないわね」と、花袋さんは少しだけ前向きな表情を見せました。

「じゃあ、RPAってもう完全に終わりなの?」と尋ねる花袋さんに、田中さんは笑って「そこが一番面白いところなんです」と答えました。

次回(第3回)は、この「RPA vs AI自動化」について、さらに深く整理していきます。

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